ペルーには、固有の名称を通じその品質や価値などを保証しようとする「原産地呼称制度」に基づき命名された10種類の産品が存在する。
ペルーの原産地呼称制度とは、自然環境や気候、人的要素を考慮しつつ、生産地に由来する本質的な特徴に応じ、当該地域あるいは地理的領域の名称を用いてある製品を命名、区分、保護するための仕組み。
国家競争・知的所有権保護庁(INDECOPI)により 、今までに同制度の適用を受けた国産の10製品は次のとおり。
El Pisco(ピスコ)
1990年12月12日、その素晴らしさからペルーの国民的スピリッツとして正式に名称を付与されたペルーの原産地呼称制度を象徴する製品で、「ピスコ原産地呼称規則」に従い蒸留されたものが対象。現在のイカ、リマ、アレキパ、モケグア、タクナの5州に相当する太平洋岸地域でスペイン植民地時代から製造されている。
グアマン・ポマ・デ・アヤラ、ペドロ・サルミエント・デ・ガンボア、フライ・マルティン・デ・ムルア、ベルナベ・コボ、ペドロ・シエサ・デ・レオンといった年代記作家は植民地時代初頭から、この酒の製造法や生産地について書き記している。
ピスコとは、ヨーロッパからもたらされた葡萄と栽培に適したペルー南部海岸の土地、そこで発展した製造技術が一体となり作り出された製品だ。
Maíz blanco gigante del Cusco(クスコの大トウモロコシ)
2件目の命名はパラカイ・サラの名称でも知られるクスコ産の大トウモロコシ(2005年9月26日付与)。産地はクスコ州のカルカ郡(サン・サルバドル、ピサック、タライ、コヤ、ラマイ、カルカ)およびウルバンバ郡(ウルバンバ、ワイリャバンバ、オリャンタイタンボ、ユカイ、マラス)に限られる。
Cerámica de Chulucanas(チュルカナスの陶器)
2006年7月26日付与。生産地はピウラ州モロポン郡チュルカナス地区に限られる。この人目をひく陶器は、陶土やマンゴーの葉を始めとするその土地の自然の素材に、ビクス文化(紀元前150~紀元400年頃)から受け継がれた伝統技術が加わり生み出される。
Pallar de Ica(イカのライマメ)
皮が薄くて調理しやすく、煮るとクリーム状になる豆。光合成を行い、シアン化水素含有率が少なく甘い味が特徴。生産地はイカ州のチンチャ、ピスコ、イカ、パルパ、ナスカ各郡に限られる。2001年11月23日付与。
Café de Villa Rica(ビジャ・リカのコーヒー豆)
2010年8月20日付与。ペルー中部のパスコ州オクサパンパ郡、豊かな土壌と水源を擁すビジャ・リカ地区で、恵まれた自然環境にコーヒー農家の経験と栽培技術が加わり生み出されるコーヒー豆。
Zapallo loche(サパージョ・ロチェ/かぼちゃの一種)
グルメ通に人気、香りと美味しさが特徴のランバイエケ産カボチャ(2010年12月3日付与)。同州のチクラヨ、ランバイエケ、フェレニャフェ各郡が産地、古くから培われた伝統農法が製品差別化の秘訣。
Café Machu Picchu Huadquiña(マチュピチュ=ワッキーニャのコーヒー豆)
クスコ州ラ・コンベンシオン郡サンタ・テレサ地区に位置するワッキーニャ集落(旧ワッキーニャ農園)産のコーヒー豆。付近にはマチュピチュ遺跡のほかサルカンタイを始めとする雪山があり、これらの影響で現れる局所気候がコーヒーの開花を遅らせ、その実に十分な有機物が蓄えられることで優れた豆が育ち、地域に残る先祖代々の慣習的耕作法も相まって、このコーヒーを他のペルー産アラビカ種とは異なる特別なものに仕上げている。2011年3月8日付与。
Maca de Junín y Pasco(フニン州とパスコ州のマカ)
上記2州で生産されるマカ(2011年4月12日付与) 。還元糖の平均含有量が甘さや風味、香り、色など様々な特徴に影響、マカに含まれる糖質およびマグネシウムがカリウムと共にストレスを和らげ、滋養強壮にも効果があるとされる。これらのマカは両州の標高3950m~4500mに位置する気候の厳しい耕地で栽培されている。
Aceituna de Tacna(タクナのオリーブ)
タクナのオリーブは、沖合をフンボルト海流が流れるタクナ州の特別な気候とオリーブ農家の栽培技術に育まれ、同州のラ・ヤラダ、サマ・エ・イテ地域で産出される(2014年12月10日付与)。
Cacao de Amazonas(アマソナスのカカオ)
カカオの木の生育に適した可変性の気候と、先祖伝来の栽培法により生み出されるアマソナス州産のカカオ豆(2016年8月29日付与)。
(ソース:Andina 30/01/19)