今日のGoogle Doodleはペルーの独立記念日バージョン。ペルー国花カントゥータの蜜ををついばむ七色のハチドリと、聖地マチュピチュ。ペルー国旗の色である紅白のリボンで作られたGoogleの文字。その書体はペルー人レタリングアーティストEllito Túpacによるchicha。これ以上ないほどザ・ペルーなロゴだ。
Chichaはmúsica tropical andinaというペルー独自の音楽ジャンルから派生した書体だ。1950年代以降都市(特にリマ)に流入したアンデスの農民たちの音楽であるワイノと、60年代に隣国からリマに伝わったさまざまな商業音楽、特にコロンビア由来のクンビアとが融合しあい、música tropical andinaが生まれた。その中で爆発的にヒットしたのが、アンデスの町ワンカヨのチチャ売り娘をイメージした曲La Chichera。そこからmúsica tropical andinaは、別名chichaとして知られるようになる。
80年代にはLos ShapisやLos Ovnisといったさまざまなアーティストが登場し、chichaはペルー庶民の曲、現在のCumbia Peruanaへと成長する。その音楽を表現する手法の1つとして生まれた書体がこのchichaで、それをアートとして確立させたのがEllito Túpacその人というわけである。
うーむ、Google Doodleから思わぬ知識を得ることができた。これまであの書体を見るたびに「なんてパワーに溢れた文字だろう」と思っていたが、それはいわゆるcholo文化を背負っていたからだ(この場合はシエラとコスタのミックスという意味)。Chichaで書かれたポスターは可愛いものが多いが、そのケバケバしい色は時に下品さも漂わせる。その色使いや背景をちょっと変えるだけで、今回のロゴのように雰囲気ががらりと変わるところが面白い。うーむ、まさにペルー的。なんだかこの書体が好きになってきた。Viva el Perú!Felices Fiestas Patrias!