第44回日本文化週間、開催。その前半の目玉である「結(Yui)」のコンサートに行ってきた。「結」は東京藝術大学音楽学部邦楽科の卒業生、はなわちえ(津軽三味線)・柿木原こう(箏)・辻本好美(尺八)の3人による和楽器ユニットだ。
実はこの数週間前、ネットで「美しすぎる尺八奏者」という言葉を偶然目にしていた。私はこの「美しすぎる〇〇」という表現が大嫌いだ。女性活用とか地位向上とか、未だ寝ぼけた言葉が飛び交う日本ならではの稚拙な形容。まったくアホちゃうか、恥ずかしい。というので思わず検索してしまったのですよ、辻本好美さんを。そしたら確かに美人で、しかもうまい!そこからこのユニットの事もざざっと調べていたので、今回のコンサートはとっても楽しみにしていた。
オープニングは「結」のオリジナル曲 “蒼” 、次に近代日本の名曲 “春の海” が続いた。最初の数小節を耳にしただけで、「元旦」の二文字が頭に浮かぶ。情緒あふれる美しい旋律にしみじみと浸る。本来は箏と尺八の曲だが、結バージョンとあってテンポはちょっと早め。でもこれはこれでよかった。
その後は“赤とんぼ”を始めとする童謡が4曲、“こきりこ節”など民謡4曲、“コンドルは飛んで行く”もあった。それにしても、さすが東京藝大卒、柿木原さんの声がこれまた素晴らしい。こぶしが効いてて、民謡歌手としても活動してるのかと思うくらい。その前の童謡がちょっと単調だったから、お客さんもノリノリ。日系といえどもラテンだからねぇ、それに来場者の半分は純ペルー人。日本の伝統楽器と着物というスタイルで、十分「日本文化」を伝えているのだから、曲は現地の人が楽しめるものがいい。
3人の独奏と、後半の曲は特によかった。“月白の空” など「結」のオリジナルはとても若々しく、観客も盛り上がっていた。だいたい音楽を楽しむのに、椅子に縛られたような堅苦しい雰囲気はいかんよ。手拍子なり足踏みなり、自由にリズムに乗れるほうが自然だ。うん、良かった、楽しかった!
コンサート終了後、「結」のメンバーは即座に着替えて空港へ直行、そのまま日本へ帰国したそうだ。なんとまぁ、忙しいこと。コンサート後の懇親会で日系の方とお話したのだが、「なぜもっとペルーを楽しむ時間を取ってくれなかったのでしょう。日本人は本当に忙しいですね。残念です」と。仰る通り。こういう才能あふれる若者には、ペルーの伝統音楽も知ってほしい。アフロペルアーノと津軽三味線なんて、絶対面白いと思うよ。
ブラジルではもう2年続けてコンサートを行っているという「結」。そのついででいいから、ペルーにもまたお越し下さい。でもってカホンなど、ペルーの楽器とジョイントするとか。在ペルー日本大使館とAPJの皆さま、どうぞよろしく♪