数年ぶりにChurín(チュリン)を訪れた。チュリンはリマ州北部にあるリマっ子御用達の湯治場、ペルーでは珍しい温泉郷である。ただアクセスがとても悪いため、乾期以外は訪れるのが難しい場所・・・だった。
リマからサヤンまでは舗装道だが、そこから先は細い山道が1本続くだけ。山肌を削って造られた道路はもちろん未舗装のまま、脇に50cmも逸れたらそのまま谷底に真っ逆さま、という難所が何度も現れる。あの時は日本から来た友達を連れて行ったのだが、「まったく、なんで私がこんな目に・・・」と恨み節を聞かされたものだ。今回同行の友達にも道が険しいことは伝えておいた。私自身も酔い止めを準備したくらいである。
ところがそんな心配は杞憂に終わった。道路整備が驚くほど進んでいたのだ。往路は大型バスだったためそのノロノロ運転に辟易したが、復路はミニバンを利用したのでそれこそすっ飛ぶように走ってくれた。途中何ヶ所かはまだ工事中だったが、多くの場所で道路幅が拡張され、谷までの距離も十分確保されている。一体全体どうやってこの崖を削り、大量の砂や岩を処理したのだろう。中央道の工事には悪態をつきまくったが、ここまでその違いを目の当たりにしてしまうと、工事渋滞にもう文句が言えなくなりそうだ。といいつつ、これが去年あたりだったら相当文句を言っていたに違いないが。
ミニバンの運転手の話によると、この道路整備プロジェクトは2014年に始まり、この年内には終了予定だという。そのおかげでスピードの上がらない大型バスは所要6時間だが、ミニバンならリマ・ノルテからチュリンまで、なんとたった3時間で移動できるようになった。これほど道が良ければ、雨期でも行けそうだ。
「でも去年1月(雨期)に大きな土砂崩れがあって、これと同じミニバンが飲み込まれたんだよ。10人以上死んだんだ。ほら、ちょうどここだよ。十字架が見えるだろう?」と運転手。この地すべり跡が事故現場だったのだ。慌てて撮った1枚だが、中央に十字架が小さく写っているのが見えるだろうか。
帰宅後ペルー交通通信省(MTC)の資料を検索したら、このプロジェクトについてのデータが出てきた。Prj. Carretera Huaura – Sayan – Churín、99.28km、期間:2013年4月24日~2015年4月14日。プロジェクトが1~2年遅れるなんざ、ペルーでは常態なのでコメントなし。 ちなみに運転手が「1月に起きた」という事故は、なんと乾期まっただなかの6月だった(人の記憶というのは如何に曖昧か・・・)。ペルーはほんと、いつ何が起こるか分からない。
なんにせよ、今回のチュリン行きは、地方の開発・発展を肌で感じるよい機会になった。温泉もすっごく良かったしね!乾期に事故があったと書いておきながら言うのもなんだが、とってもオススメ。私はまた行こうと思っています。