「2月5日にPNP(ペルー国家警察)がストライキを決行する」とのウワサがあった。今年に入って警察の勤務体制が24×24(24時間労働、24時間休憩)から、1日8時間労働・週1日休みに変更されたことに抗議するものだ。
ペルーの公務員、特に警察の給料は低い。その為、警察官の多くは休みの日に銀行やカジノ、レストランなどの私設ガードマンとして働き、生計の足しにしてきた。ニュースによると、そうしたアルバイト代は1日75~90ソレスにもなり、ひと月で1100~1350ソレスの稼ぎになるという。「私はこの副収入で娘を私立大学に入れることができた。これがなくなったら、この先どうしたらいいのか」という、一家の大黒柱としては悲し過ぎるコメントが掲載されていた。
何かあるとすぐ銃撃戦になり、若き警察官がしょっちゅう死んでるような国で、給料も低い上に賄賂も禁止され、その上バイトもできないなんて、本当に可哀そうだ。その癖、国会議員だけは給料2倍とかにしちゃってさ。そりゃストライキくらいしたくなるだろう。
とは言え警察がいてもこの犯罪発生率なのだから、いなかったら目も当てられない。41年前の1975年2月5日に警察が給料アップを求めてストライキを決行した時は、セントロで略奪行為やら放火が発生したそうだ。軍の出動によって鎮圧されたが、死者86人、負傷者155人、逮捕者1012人という信じられない結果となった。以降、2月5日はペルーの恥ずべき日として記録されている。
今回もすわ、悪夢の再来かと緊張したが、さすがに時代が違うのだろう、問題はなかった。セントロのPlaza 2 de Mayoではストを呼び掛けた一部警察官と、通常任務に就いていた警察官との小競り合いがあったが、スト首謀者は逮捕され、街の平和は守られた。
ペルーの警察にいい印象など何もないが、正直にいうと今回のスト未遂に関してはちょっと同情的だ。低賃金という問題が解決しない限り、いつまたこんな事態が起こるか分からない。彼らの生活の質が向上しない限り、治安など守れる訳がないのに?現政権(いや歴代か)はなぜこの問題を放置しつづけるのだろう。分からないことが多すぎる。
4月に大統領選挙を控えていることもあって、最近ペルー人と話す時は、「あんたの一票がこの国の将来を決めるんだからね」と余計なことを言っている。次は誰だか知らんが、警察官が汚職をしたりガソリンを横流しせずとも、職務に専念できるような国になってほしいと切に願う。