ペルーで大人気の和食料理人、小西紀郎さん。そのトシローさんが、日本語を学ぶ(日本に興味を持つ)ペルー人を対象に講演会を行うと聞きつけ、いそいそと行ってきた。場所はCentro de idioma japonés Tsuru(鶴日本語学校)。若き日本語教師、鶴田豊実さんが経営する日本語学校だ。
この日の話は日本料理について。四季ごとの料理、プロの料理と家庭料理の違い、豊かな食材とそれをどう守っていくかなどなど話題は多岐に亘ったが、聴衆を飽きさせることのない巧みな話術に、みながトシローさんの言葉に集中した。
特に印象に残っているのはこの話。「漁業省(現在は生産省)は稚魚を守れ、稚魚を獲るなというが、あれはちょっと間違いだね。禁漁も大事だけど、もっと大切なのは海藻だ。小魚が安心して住める海藻があるからこそ、それらを捕食する大きな魚も生存できる。森に木がなければ小鳥は来ないんだ。それがどうだ。今じゃ化粧品の原料にとどんどん輸出してしまって、ペルーの海岸には全然海藻がない。海藻は魚だけでなく、海岸線も守る。波が来ても海藻があれば引き波は柔らかく、浅瀬を守る。海藻がないから波がどんどん地面を削って、さらに環境が破壊される。だから俺は大臣に文句を言ってるんだよ。それじゃダメだってね」至極ご尤もなお話も、トシローさんが話すと説得力が増す。
他にもニッケイ料理やペルー料理の話、魚偏の漢字の話も面白かったな~。為になることがいっぱいで、会場は満足感いっぱいの温かな空気で満ちていた。
今年7月で丸1年を迎えたという鶴日本語学校は、スルコ区の買い物に至便なチャカリアにある。語学としての日本語はもちろん、魅力溢れる日本文化をさまざまな形で伝えている。仕事や留学目的で日本語を学ぶ人のほか、ペルーで暮らす日本人の子供たちのクラスも好評。我が子に正しい日本語を忘れないでほしいという親御さんたち、ぜひどうぞ~!
「学校作ってよかったと思うのは、ただ日本語教えるだけでなく、今回のような貴重な体験を皆で共有できる場所を作りだせたことですね」と豊実さん。こうした真摯な姿勢が、今回の講演会を成功させた要因だろう。楽しい機会をありがとう。どうもお疲れ様でした!